2009年06月25日

中国石油化工のスイス社買収

Objective
中国のエネルギー会社買収戦略を考える

Conclusion
不況時に力を付ける良い戦略

Fact
2009年6月25日、日経新聞は、中国石油大手の中国石油化工集団(シノペック)がスイスに本拠地を置く石油会社アダックス石油を82億7,000万カナダドル(約6,900億円)で買収することで合意したと報じました。中国の石油大手はアフリカなどの石油権益確保を進めており、今回の買収はその一環として行われたものです。

Assessment
中国国内には1980年代、小規模な石油会社が多数存在していたそうです。しかし、効率性の観点から1990年代に統合が図られます。その中で、国営企業の3大メジャーのひとつとして設立されたのがシノペックでした。

石油は掘りやすい部分は相当程度確保されつくされていると言われています。そのため、大きな埋蔵量が残る最後の地域として注目されているのがアフリカです。同大陸の石油権益を確保した国、企業が化石燃料競争のファイナリストとして残ることができます。

エネルギー開発は国策です。中国は高成長を続けて蓄えた資金を権益の確保のために、不況で各種企業の価額が落ちている今使うことによって効率的に買収を進めています。高成長時に貯え、不況時に投資する。過去多くの強い企業がそうしていたように、事業の拡大のセオリーを行えていると思います。

その戦略を支えるのは、2009年4月17日に発表された中国の政策方針、ビジョンです。そのビジョンに基づき明確な行動を取り続ける。その姿勢には国、企業、個人共に学ぶところが多いと思います。
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2009年06月24日

ホーユーのクラシエ買収

Objective
ホーユーのクラシエ買収を考える

Conclusion
花王と事業領域が完全に重なり、厳しいのでは

Fact
2009年6月23日、日経新聞はクラシエホールディングスの大株主、アドバンテッジパートナーズなど国内投資ファンド3社が、クラシエ株売却で、染毛剤最大手のホーユーと交渉していると報じました。3社はクラシエの全株式を保有しており、このうち半数以上を200億〜300億円程度で売却することを意図しています。

Assessment
ホーユーの実際の現金支出は約100億円で、150億円のクラシエの純債務も引き取るという形で交渉しているようです。クラシエは旧カネボウの化粧品事業以外の事業で、生活用品を取り扱っています。主力商品は「いち髪」、「フリスク」があります。

ホーユーは染毛剤市場では最大手の地位にあります。HPを見ても染毛に特化していることが分かります。一方で、近年に花王の生み出した泡の染毛剤が同社の事業を圧迫していたようです。主力の市場で追い込まれ、次の一手を暗中模索だったのだと思います。

しかし、花王の壁は高いです。ホーユーとクラシエの売上を合算しても1,100億円であるのに対し、花王は1兆3,000億円。今回のクラシエ買収で完全に事業ドメインが花王と重なり、花王を出し抜くことなしに成長があり得ない状況となってしまいます。規模の差からホーユーはニッチ市場を丁寧に拾うことしか対抗策がありません。

今までは染毛剤市場というニッチな市場であったからこそ看過されていた市場も、規模の拡大によってニッチでなくなれば大手企業との競争は激しくなります。花王との正面からの競争は避け、専門性を高めたり、髪関連の事業の拡大をするといった、関連性のある市場での成長を検討するべきのように思います。
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2009年06月23日

セブンイレブンの独占禁止法違反は違反なのか

Objective
コンビニエンスストア("CS")の値引販売を考える

Conclusion
私たちは利便性をあきらめられるか

Fact
2009年6月23日、日経新聞はセブン-イレブン・ジャパンが独占禁止法違反(優越的地位の乱用)にあたると判断されたと報じました。フランチャイズチェーン加盟店に対し、販売期限の迫った食料品などを値引きする「見切り販売」を不当に取りやめさせたとして、公正取引委員会が6月22日付けで同社に排除措置命令を出しています。

Assessment
CSでオーナーが見切り販売を行っていることを禁止することが、公正取引委員会によって不正と判断されました。この問題はフランチャイズ("FC")の根本への問題提起であると思います。FCは統一的な店舗形態を持つことによって、経営の効率化、ブランド化を目指すものであるのに対し、各オーナーの裁量を許そうとするものだからです。

店舗のオーナーはFC権を持つことで、その力を当日から手に入れることができます。本来は長年の信頼を通じて開拓しなければ手に入らない多様な商品の取引先も、消費者の信頼も、効率的な経営手法も瞬時に手に入れることができるのです。その引き換えは高額のロイヤルティーと自由裁量です。オーナーはFCシステムの一部として機能することが求められます。

7&iホールディングスの09年2月期の有価証券報告書からは、CSの利益率が9.2%であるのに対し、スーパの利益率は1.2%に過ぎないことが分かります。同社の営業利益2,800億円のうち、実に2,100億円をCSで稼ぎ出しているのです。その利益率が1%下がるだけで230億円の利益が吹き飛んでしまう計算になります。CSの高利益率の保持は必須の経営課題なのです。

しかし、統制の無い安売りは、消費者の値引思考をもたらし、定価の商品を売れにくくします。すると、また安易な他商品の値引きへと値引きが広がり、店舗全体としての利益率が悪化します。悪化した利益率を補うためには、商品数を減らして効率的に商品を取り扱う必要が生じます。しかし、扱うことができる商品の減少は、CSの利便性を奪います。それは、消費者のコンビニ離れを呼び起こしてしまうのです。

見切り販売に限った議論としても、商品の充実を重視し、廃棄率まで計算した仕入となっているため、一定の廃棄は予定の上生じているものです。それをもったいないとするならば、仕入数を減らせば良いだけです。その代わり棚に空きスペースが目立ってしまうのですが。

結局、問題は消費者がCSに多くを求めすぎていることに起因します。様々な商品があり、24時間営業していて、しかも安いというのはさすがにCSに多くを求めすぎなのです。CSは高くとも便利だということが売り物なのですから。適切なサービスには適切な対価を払うという意識が消費者に必要です。一方で、FCのオーナーには看板を預かっているという意識が必要です。その看板は多大な努力の結果生まれ、育てられているものなのですから。
posted by しんのすけ at 13:00| Comment(0) | 新聞から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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